初心者の「こう弾きたい」は間違いなのか

楽器を習ったことのある人はほぼ必ずと言っていいほど「好き勝手に弾くな、拍感を守れ、加速するな、強弱が違う」等々、弾きたいように弾いていたものを直されると思います。

ただそれが間違いだったのかと考えると、今になって思えばそうでないような気がしています。もちろん「この時代の作品ならこう弾くべき」「ワルツの指定なのにマズルカのようではダメ」等、間違いと言えるものもあるでしょうが体感的には9割は合っていると思います。

ではなぜ直されるのかといえば、自分が思い描いた通りには弾けていないからです。例えば速く弾きたいフレーズを速く弾いたつもりでも客観的に聴いた時にはリズムがキープできていない等、ちゃんと弾けていなければ「速く弾いてはダメ」と言われてしまいます。要はやってもいいけどできてない(しかも自分ではできてると思ってしまう)ということです。

実際私もそう言われてきましたが、後々になって「速く弾いてはいけないのだ」と思い込んでいたことに気づきました。正しくは「速く弾くことができて、その必要もあると思うならしてもいいができないならやってはダメ」という意味だったのですが、同じような人、多いんじゃないでしょうか?

私はレッスンで”現段階では”してはいけないことを言う時には「あくまで今のところはしないで」という情報をなるべく伝えるようにしていますが、うっかりこのような呪いをかけてしまっていないか時折考えています。

音楽理論…要不要や身に着け方

音楽に理論はそもそも必要なのか。理論なんて知らない、勉強したことないというミュージシャンも多いし、要らないんじゃないか?何の役に立つんだ?そう思ったことはないですか。

そもそも理論ってなんだ、という話ですが、正直私も全然詳しくないのであくまで私の理解の範囲で説明してみます。

音楽ってルールなんてないし好きな音を好きなタイミングで出せばいいんですが、その中で人間が心地よいと感じるものは限られています。人類の歴史の中で「こういう音を使うと気持ちいいんじゃね?」「こういう音ならこう演奏すると気持ちいいな」というノウハウを集めて一般化したものが(私の考える)理論です。

そこで「理論を知らない」ということについて考えてみます。例として有名なギタリストが「俺はコード(ネーム)なんて知らないぜ!」と言ったとしましょう(理論かというと違うかもしれないけどあくまで例)。確かにその人はコードネームは知らないんでしょう。

ところでコードネームというのは和音ごとの響きや役割、機能の違いを区別するために使っているものです。おそらくそのギタリストは「こういう和音を使うとこういう響きがして、そこからこれに繋ぐととてもかっこいい、さらにこの和音に変えるとちょっと切なさが出ていい」みたいなことは完璧に知っているはずです。ということは、彼は本来の意味では理論を知っていると言っていいんじゃないでしょうか。

ではなぜ彼は勉強していないのに知ることができたのか。天才だったから?そうではないと思います。おそらくたくさん弾いてきたからです。これはたくさん練習したという意味とは違います。例えばG7→Cというコードの流れをたくさん弾いたら、「お?なんだかこれ気持ちいいな」「なんか落ち着いた感あるし、演奏もほっとする感じにしたら良さそうだな」と気づけるでしょうし、今後類似した進行(ドミナントモーション)を弾くときには同様に弾くでしょう。

クラシックで言えばエチュードには特定の機能的なモチーフがたくさん出てきます。練習曲集では曲ごとに少しずつ違ったりするのでパターンとして学んでいけます。譜面を見てどこで解決しているか読み解けなくても先生から「ここで解決してね」と色々な場面で言われるうちに「ああ解決する音ってこういうのか」とわかっていきます。

ロックや弾き語りでもコピーをたくさんすることでオリジナルのミュージシャンがどこで盛り上げているかなどから学んでいけますね。

もちろんちゃんと勉強して知識として知っていれば応用も効くし他人と共有したり議論したりもできるのでベターです!勉強する意味ないということじゃないよ!

結論ですが、

・理論知らないは半分嘘

・学ぶ方法は座学だけではない

ということです。長くて読んでられない!というお声をいただき前回の記事を短くした反動か…長くなってしまいました…

練習の時気を付けることが多すぎて無理!

脱力しなきゃ、フォームはこうで、あ、姿勢や呼吸も・・・と気を付けることが多すぎていっぱいいっぱいになっちゃう場合。

みんな忘れてしまおう!音楽のブログや動画でたくさん有意義な情報が紹介されているけど、それは「今それを必要としている人向け」です。

独学であれば「できないこと」もしくは「もう少しでできそうなこと」どちらか一つ気を付ける程度でいいです。ただ曲や練習によって身に着けられることは違うから曲によって気を付けることは変えてくださいね。

それ以外は、正しい情報であっても忘れてしまって大丈夫。レッスンを受けているならわかることですが、先生はそれらの情報をほとんどすべて知っているはずなのに教えてくれるのはほんのわずかなはず。つまりそれだけ取捨選択が大事ということです。

先生はいくつか同時に気を付けるべきことを指摘しますが、それは曲や曲中の一部分についてやるべきで、常に頑張ることではないことも多いです。

持続可能な練習をしましょう。

スラー(ハンマリング)の際の指の状態

スラー(ハンマリング・オン)が出ない!というよくあるお悩みに色んな方が答えていますがここでその時使う指の状態にフォーカスしてみます。

ひとまず上行スラーを例にとり、打つ直前の指を見てみましょう。左手の指先を右手でぐいぐい押してみましょう。指、動いてますか?

ここで右手で押されてわずかでも開いてしまうようならその時の左手は「柔らかい」ということになります。柔らかいもの、例えばこんにゃくをフレットに押し当てたら音は止まってしまいますよね。

でもスラー以外だと音は出てるよ?という方。こんにゃくであってもその上から重しを載せれば弦は押さえられますよね。問題は重しを載せる前に音が止まっちゃうことです。

勢いを付けようと指を振りかぶってから握る動作で押弦すると柔らかい状態で接することになってしまいます。

ここでまた実験ですが、何か固いものをフレットに押し付けてみてください。多分そーっと触ってもそれだけで音が出ちゃうと思います。

なので左指は右手で押しても動かない状態を作ったら、もう助走も付けようがないくらい弦の近くから押弦してみてください。これで出ない場合はまだ固さが足りないということなので、助走をつけてなんとかしようとは思わないでくださいね。

ちなみにこの強靭な指の状態、握力等は一切関係なく、ほんのちょっとした形の工夫などでできますので力んでいるのに近い状態ながら力んでいないし疲れることもありません。

アルアイレとアポヤンドの切り替えが苦手な場合

アポヤンドはとても便利な奏法で伴奏のアルペジオの中でもメロディを簡単に浮き立たせることができたり音階に安定感をもたらしたりします。それが故に要所要所でアルアイレに混ざって使えることが必要になります。

アルアイレの仕方、アポヤンドの仕方を詳しく解説されている先生はたくさんいますので割愛しますがそれらが混ざった時に一瞬で切り替えられない、指を寝かせないとアポヤンドできない等のケースに関しては論理的に理解することが簡単なので説明します。

指に限らず何かが引っかかるという場合、原因は大体二つだと思います。

①鋭角

②深すぎる

以下、雑の極みですがイラスト付けましたのでこれを見ると「あーこりゃ引っかかるわ」というのがわかりますよね。他にも摩擦係数が高い等色々理由はあると思いますがギターに関係するこの二つのみに絞ります。

矢印は指の移動方向。黒丸は弦です。

①も②もアルアイレで使われる指の形ですね。そのためここからアポヤンドしようとするとさらに次の図のようになることが多いです。

鋭角だった場合は指を伸ばして鈍角にしたり、深すぎる場合は手を寝かせて弦が手の中から出ていきやすくします。

こうなってしまうと大変で、要はアポヤンド専用のフォームを作らねばならないのでアルアイレの最中に急に切り替えることができません。

ところでここで一つ疑問ですが、黒丸の位置、おかしくないですか?

指の中で弦をとらえる場所というと、各種教本等でも「爪と肉が同時に当たるところ」ですよね。ということで正しい位置に黒丸を描いてみます。

弦が本来当たるのはこの辺りですよね(②は実際の指の形になるようちょっと書き直しました)。どちらも鈍角になっています。

つまり、アルアイレ同様に弦をとらえていれば指は弦を押しのけて次の弦にもたれかかることができます。手の形をほとんど変えずに一音だけアポヤンドを混ぜることも可能です。もちろん実際は手の角度や位置は変えたほうが効果的なことが多いですが、可能か不可能かはまた別な話です。

うっすらお気づきの方もいるかもしれませんが、アルアイレ同様に弾けるはずということは、アポヤンドができない場合にはアルアイレもきちんと弾けていない可能性が高いということです。私の場合、必ずしも使わないといけないテクニックではないのに習得をお勧めするのは今回の弦の位置の話に限らずできない場合に他の無関係に見える技術にも影響を及ぼしていることが多いからです。

余談ですが弦に対して指が寝れば寝るほど指は弦に対して仕事をすることができないので音も良くないです。引っかかるかどうかよりこちらのほうが大大大問題なのですがこれはまた別のお話。

くそー、、短くしようと思ったのにまた長くなってしまいました。まとめ上手になりたい

ドレミファソラシド~魔法の音階

「ドレミファソラシド」弾いてみて、と言うとほとんどの方はすべての音を同じように弾きます。

そこで「ちゃんと弾いてみて」と付け加える。

更に魔法の言葉「ドから始まってちゃんとドで終わってね」

そうするとそれぞれの音が色を持ってくる。

(読み飛ばし可)

  • ド・・・大地を踏みしめた安定感と先への期待
  • レ・・・登り始め、不安感あれども美しさを楽しむ余裕も
  • ミ・・・登り慣れてきて、ちょっと安心できる第一キャンプ設営
  • ファ・・・安心できる場所を離れ更に上に行く不安と楽しみ
  • ソ・・・景色が開け、気分も晴れる
  • ラ・・・険しくなってくるもアドレナリンも出てきて高揚
  • シ・・・軽やかさもなくなり早くたどり着きたい、でも頂上の景色が楽しみ
  • ド・・・やっと着いた!ほっとしてゆったり足をつける

こんな単純な音階なのにフルカラーでストーリーが描かれてくる。

弾き方を変えようと思ったわけでなく、ただ始点と終点を認識しただけ。

一音一音味わわず流れで弾いちゃう方はこの段階でもまだ白黒の濃淡だけのことも多いですが少なくとも表情の付いた立体的なものにはなります。

認識、理解。面白いですね。

誤解されがちな指の独立(独立させる方法)

以前に指の独立について書きましたが具体的にどうするかというあたりはあまり触れなかった気がするので書きます。内容は9割くらい重複するかもしれないけどご勘弁をー。

まず、「指の独立」という言葉で誤解しないようにしましょう。これ実は指を一本一本別々な動きをさせることではないです。指の独立のための練習を紹介しているYouTube動画等見てみましょう。おそらく講師の方は特定の指だけじゃなく手全体がつられて動いているはずです。

ここでちょっと足について考えてみましょう。

まずは立ち上がってみてください。両足で立っていますよね。次に目標地点を決めて右足を動かして踏んでみてください。右足だけ動かしましたか?それとも体の位置も変わりましたか?

足の位置を変えるには重心を変えるため体も動くことが必要です。単に足先で触れるだけであれば左足だけに全体重をかけておけばほぼ右足の動きだけで触れるかもしれませんが今回は「踏む=体重をかける」ことが目標です。

体重をかける・・・ギターも同じですよね。弦を押さえる際は腕の重さをかける(=体重をかける)ということは皆さんご存知だと思います。つまり、もし本当に指だけ独立して動かしてしまうと重さがかかりません。

ではどうやって複雑な運指をこなすか。ここで足の例にもう一度戻りましょう。右足の移動先は好きに選べたはずです。体の前でも後ろでも、捻るような動きが必要な位置にでも。その間左足は同じ場所にあり動きません。これは独立が達成できていると言えますよね。これができたのは左足にも重心があったからです。そのため左足が地面に押し付けられて固定されている。

同じことを指で考えます。例えば左手の人差し指を右手で掴んで固定してください。その上で手首を前後左右に大きく動かしてみてください。固い方でも自由にストレッチが効くし人差し指とそれ以外でまったく別な動きができますね。

つまり、人差し指→中指という運指があったとき、人差し指にしっかり重さが載せられていれば中指を同じ弦でも別な弦でも好きなところへ送り込むことができます。まあ重さが載っていなければそもそもちゃんと押弦できていないわけですが。なので結論としては独立させるには順にちゃんと重さをかけていくということになります。というかこれって普通の音階の弾き方そのものですね。

とまあ長ーくなってしまいましたが、指をバラバラに動かす練習をしてもバラバラには動かないし、そもそも人間の仕組みにも反するし、逆に普通の音階練習だけしかしていない人でも指は独立できたりするので、何を身に着けるかを間違わないようにしましょう。独立の練習をしておけば独立するわけじゃないですよ。独立させるにはどうするかを考えないと、せっかく努力してるのに方向が違ったら勿体ないですもん。